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こちら情報局


「本音のコラム」
『東京新聞』
99年9月24日付
こちら情報局

自自公

 自民党総裁選が無事終了し、小渕首相の続投が決まった。次の焦点は自自公での政策合意となる。

 自自の話が登場したのは昨年の秋。11月27日付本コラムで「自自連合」と題しコメントした。

 あの時、「小(自由党)が大(自民党)」を呑み込む瞬間を目にするかもしれないことを指摘した。そして「自自」だけでは安定基盤に足らず、「公」を外せないのではとの懸念を示した。

 案の定というのか、「藁をも掴む」数合わせが成立し、政治理念が霞んでしまいそうな勢いだ。

 この数合わせ、政局の安定的な運営だとか、経済不況の大変な時の挙国一致だとか説明されているが、自由経済の原則で言わせてもらうならば、株主(国民)の同意を得ずして、合併を目指すようなものではないのか。それも独占禁止法違反を地で行くような大胆不敵なものではないかと危惧する。

 一方の民主党はというと攻める側(野党)なのに、攻められる側(与党)が内側から崩壊し、空中分解するという前提条件で、ようやく自らの主張が成立するらしい。

 自民党を中心にガリバー連合が誕生し、市場を席巻する独占的な状況が出現するなかで、どんなビジョンをもって自らの存在価値を誇示し、いかなる事業戦略を構築するか、自らの商品の正当性を理解させるプロセスが解りづらい。党首選は公開株主総会と考えると、そのブレがはっきりする。

 さて、両者(与野党)の最大の誤解は、消費者(国民)が二者択一でどちらかの商品(政党)を選択すると思いこんでいることだ。

 生活必需品ではなく、単なる嗜好品だと考えれば、購買拒否(棄権、投票拒否)も増えてこよう。

 仮に生活必需品だと主張するならば、断食を余儀なくされた国民は間違いなく栄養失調の状態にあり、繁栄は難しい。