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政府の国会等移転審議会が移転先候補地を選定・公表する時期が近づいているが、移転を望む多くの市町村が大同団結し、包囲網を狭めていることに疑問を呈したい。
この大同団結。イメージ的にははちまき締めて、整備新幹線計画の早期実現を勝ち取る座り込み陳情にも似ており、今さら古い手法を駆使するなぁと考えさせられた。 移転派の主な理由は「都民に自然とゆとりを取り戻すため」「国会は自然の森の中で伸び伸びと」などと都民の期待とでも言いたげだが、実際には都民の五十六・八%が「首都圏移転は必要ない」と明確に答えている(「都民生活に関する世論調査」)。 国会を移転したところで、跡地の「あの固まり」は極めて利用しにくいし、既に多くの政党や地方会館がここ数年の地価下落で入居ビルの建て替えを図っているのに、本当に国会を移転させるのかと財源的にも心配になる。 お断りしておくが、全ての機能を東京に集中させ、東京都民が得られる利益をこれからも維持したいと主張しているのではない。 「ネットワーク」の時代が到来し、「集中と分散」が企業経営の本質(競争の源泉)として認識される状況では、悪戯な「分散」はコスト高を招く。日本の競争力を高めるには、不要な二次コストを削減し、我慢して暫し効率良い運営を続ける必要があるのだ。 それでも時間が経過すれば一部先端企業のように、本社機能の首都圏への集中はコスト的に不利と考え、市場原理に基づき地方都市に本社機能と大部分の社員を移転させるところも出てくる。 ところで、都民が反対する最大の理由は、実は他にある。首都機能移転には更なる税金の負担が求められ、それを期待される多くは東京にしがみつく地方出身者である。理不尽な話ではないか。
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