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こちら情報局


「本音のコラム」
『東京新聞』
99年8月6日付
こちら情報局

ターンテーブル

 二週間の夏季休暇を消化し、無事職場に復帰した。今年は、水の都「ベネチア」を視察し、沖縄サミット成功のヒントを模索した。

 実はイタリア旅行は二度目であり、一度目は遥か昔のことでもある。七年以上も前だったか、仕事で伸び悩み、気分転換に水彩画を描きながら、心を落ち着かせていたのだが、その題材探しにイタリアの絵画と建築を見て回った。

 B級グルメと三ツ星ホテル、早朝出発のパック旅行の強行スケジュールに閉口し、次は優雅な個人旅行で来れるよう頑張ろうと誓ったことを覚えている(笑)。

 さて、夏休みも本番を迎え、先週末あたりから、不景気にも係わらず海外に出かける旅行者が多いとメディアが報じている。たぶん、お盆過ぎあたりには、空港の出口付近をカートいっぱいのお土産を手にして、真っ黒に日焼けして出てくる人達の笑顔・笑顔が画面一杯に映し出されることであろう。

 近頃は海外旅行慣れしてきたのか、日本人旅行客の現地での滞在もだいぶスマートになり、日本をこよなく愛する者としては安心しきりであるのだが、ここで敢えて苦言を呈したい。帰国後のターンテーブルでの預け荷物を巡るマナーがいささか悪過ぎるようだ。

 せっかく海外で優雅に過ごしてきたのだから、最後の最後までカッコを付けてもらいたいのに、我先にターンテーブルぎりぎりの縁の所に立ちふさがり、自らの荷物はまだかとのぞき込む。

 結局、黒山の人だかりが少しずつ消えるまで、通り過ぎる荷物の確認には非常に効率の悪い状況が続く。

 出来れば全員が一歩、二歩下がり、他の乗客も含め荷物を取り出しやすい環境を作る努力をしたいものだ。コスト(時間と費用)のかからない「良質のコミュニティ」は他人への配慮から始まる。