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こちら情報局


「本音のコラム」
『東京新聞』
99年7月30日付
こちら情報局

ビザの取得

 先週より夏期休暇に突入した。ずいぶんと早くからと思われるだろうが、これも自己防衛本能が働いているからだ。実は、数年前まで9月の終わりに夏期休暇を取得していたが、段々と「負荷」が増えてくるにつれ、休暇を取り損なうケースが増えてきた。そこでなるべく早く、それも強制的に「長期休暇」を取得し、「オーバーホール」することを心掛けているのだ。

 さて、長期休暇に限らず、日本を離れ母国(台湾)以外の第三国に出国する時、「日本に永住」する筆者は、「国家と国民」を強く意識することになる。米国など一部の国を除き、筆者の場合「ビザの取得」を義務づけられている。

 日本国籍の保有者であるならば、世界中の殆どの国で「観光ビザ」が免除される。それだけ日本からの観光客は「消費する財力」を持つ大事なお客様として歓迎されているのだが、残念ながら「観光ビザ免除」は空気や水のようなものとして、その有難みを理解する日本人は少ない。実にもったいない話である。

 筆者の経験では、日本での第三国の観光ビザの取得には、数千円の出費と場合によっては本人申請が求められる。多忙な日々を過ごすビジネスマンにとって、この関門は極めて時間的・精神的・肉体的な苦痛を伴うのだが、そこは天性の楽観主義者。こういう時でないと各国大使館の領事業務が覗けないとアナリストに徹する。

 観察したところでは、日本と似たような生活風土にある英国やドイツはビザ申請までの一連の作業が流れ作業で実にシステマチックであり、一方ラテン系の場合、個々のケースに応じて一人一人の事情聴取から始まる。前者は申請者に完全な申請書類の提示を求め門前払いが多いのに対し、後者は窓口でのフォローが心地よく、どちらもそれなりに機能するから面白い。