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こちら情報局


「本音のコラム」
『東京新聞』
99年4月16日付
こちら情報局

若者を誉めよう

 最近、新聞の全面広告で「ニッポンをほめよう」なるキャンペーンが展開されている。昨今のメディア論調が、ややもすると悪い方悪い方へと行きがちななか、もっと良い面に注目し、閉塞状況を打破する企画に大いに賛同し、感謝する次第である。

 さて、日本を誉めようと思い、では何を誉めれば良いのかと自問して、はたと困ってしまった。たぶん、日本人独特の美徳からは、「こういう凄い所があったぞ」「もう一度良い夢を見れるように頑張ろうよ」という言い回しが支配的になると思う。が、それは誉めるというより「慰める」「持ち上げる」の表現であり、やや後ろ向きとなろう。

 では、前向きならどうすべきか。ずばりアジアにおける日本の若者の活躍を誉めるべきであろう。

 お笑い芸人の「爆笑問題」も指摘したように、日本のマンガやゲームソフトが世界市場を席巻している。さらにアジアでは、音楽やダンスを含め、文化のトレンドを日本の若者が創り始めているのだ。

 私達大人が、アジアへの謝罪だ、反省だ、相手国への思いやりだと様々な「配慮」を模索している間に、多くのアジアの若者は、直感的に日本文化への憧れをアピールする。

 アジアの若者文化では、既に単なる米国文化の完全コピーを競う時代は終わり、アジア独特のアレンジを加えた新しい文化の融合が始まっているのである。

 ここでの共通語は英語でもなければ中国語でもない。言語学的には説明の困難なチャンポン語が存在し、「感性」が一人歩きする。

 そんななか、日本の若者のアジアでの活躍を確信し、将来の役割と可能性の芽を見いだすための施策が関係省庁には求められる。将来の可能性への期待と応援が、国家活力の回復の源になる。