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こちら情報局


「本音のコラム」
『東京新聞』
98年9月25日付
こちら情報局

ピカチュウ

 不景気と言われるなか、キャラクター・グッズが好調だ。入院騒ぎなどがあったものの、依然ピカチュウの人気は衰えていない。日本橋には、専門のストアがオープンしたものの、混乱を避けるため、当初は口コミだけで大した宣伝などしていなかった。それでも連日家族連れで大盛況である。

 そんなキャラクター関連商品の中でも特に人気なのが、万歩計タイプのもの。たまごっちのように餌を与え、適度に遊んであげると、キャラクターが成長していくのだが、ゲームの基本はよく歩くこと。

 子供向けのグッズとして売り出したが、結構大人にも注目され、健康への関心が高い現代人の不安解消に人気がある。

 そういえば、昔から健康を維持するには一日一万歩以上歩きなさいと言われるものの、実際の感覚でどの程度動けば良いかが定かでない。ピカチュウ版では無いが、半年ほど前にテクテク・エンジェルなるものを購入し、自らの一日の歩数を一ヶ月にわたり計ったことがある。通常の勤務だと、ようやくどうにか八千歩を確保できるような状況でしかない。たぶん、これは事務を専門とするビジネス・パーソンの標準的な歩数ではないかと考える。特に土日等の休日に運動不足が顕著となり、ノルマの達成を妨げることを確認し、これでは駄目だと一念発起。最近は、意識的に歩くことにしている。

 実は先日搭乗した国際線でもフライト・アテンダントの一部にポケット・ピカチュウの愛好者を見つけたが、多忙な時には一回のフライトで三万歩は歩くそうだ。ここでは、自らの業務の大変さを数値で確認するとともに、ゲームキャラクターの成長がその大変な自分へのご褒美でもあるという二律背反的な側面を確認できる。直感的にはベンチマーク等、経営学上応用可能な理論が潜んでいそうだ。