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こちら情報局


「本音のコラム」
『東京新聞』
00年2月23日付
こちら情報局

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ハワイ沖

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 ハワイが好きな人間としては、今回の一連の事件を悲しく思う。

 『正月はハワイよねぇ......』という世界にあこがれ、若い頃に無理して混雑時に足を運んだこともあった。事故に遭った実習生らも、厳しい訓練の最中、ハワイという地に少しは心を弾ませていたことであろう。

 事件をきっかけに、ハワイを訪れた際によく見た日本人向けチャンネルの番組をふと思い出した。

 登場するのは、夢のハワイに観光できた中年カップル。お世辞にも巧いとはいえない芝居で、水と安全はタダの国から来た二人が巻き起こすドタバタに、くれぐれもリスク対策はお忘れなくというメッセージを含んだ教育的な内容でもある。

 途中、流行りのショップやお土産品の紹介も盛り込まれ、観光客にとっては好都合の番組であった。

 問題はここからだ。コマーシャルの大半は番組で紹介した有名レストランや免税店のものなのだが、それに混じり白黒中心のフィルムが頻繁に流されるのである。

 『パールハーバー沖に今も沈んでいる戦艦アリゾナから油が漏れている。それは数十年前の真珠湾攻撃で沈められたものです....。』そして、画面は綺麗な海に漂う油のカラー映像へと切り替わる。

 かなり異質なため、日本びいきであり、日米関係を重視する筆者にはショッキングで、嫌悪感を覚えた。というのも環境問題に厳しい米国において、今の時代、漏れる油をふさぐ方法がなく、垂れ流すなどというのは不自然だと考えるからである。

 『鯨のように塩をふき飛び跳ねる潜水艦が、船に運悪く体当たりをしてしまい、最悪の事件を引き起こしました。海底に沈んだ船からは今も油が漏れています....。』という広告が流れたらどう感じるか、米国にも考えて欲しいものだ。