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こちら情報局


「本音のコラム」
『東京新聞』
00年1月19日付
こちら情報局

インパク

 行って来ましたインパク(インターネット博覧会)。凄い人混みで入るまでが一苦労。パビリオンで迷子になるし...。

 『え?それってどこかで本当にやっているの?』ですって。

 そうではなくて、リアルの世界に置き換えるとどういうことが起きているのかを整理してみた。

 まず、インパクを訪れた印象だが、一言で言えば「現代版バベルの塔」ではないだろうか。どこまでも建築中のパビリオンが続き、リアルの世界ではあり得ない状況だ。出展さえすれば、自然と観客が集まるという安易な発想に警鐘を鳴らしたい。

 入り口での混雑だが、入場制限がなく、希望者が殺到するのだから混むのは当たり前。でも、そんなことは主催者側はとうの昔にお見通しらしい。

 どうやら、一般庶民の使っている博覧会に向かう道路(回線)が田んぼのあぜ道のように細いから混むのであって、もう少し、高速道路(光ファイバー)の有り難みを知ってもらう上でも、混雑していた方が良いと主催者側は考えている...。国民の不満が募れば、規制緩和につながるとの論拠である。

 でも、こっちは翌月には入場料に相当するものが電話料金等から引かれるのだから、圧力になる前に自らに圧力となる...。結局、主催者側の言い訳にしか聞こえない。

 入場者が殺到すれば、主催者も出展側も嬉しい悲鳴のはずだが、こちらも雲行きが怪しい。自由参加の個人パビリオンは入場ゲートから遠く、まったく観客が入って来ないとの愚痴もチラホラ。

 政府パビリオンに至っては、世界へのメッセージ発信が中途半端で、それこそインパクトに欠ける。

 東京都を始め参加しない自治体や企業も少なくないが、そちらの方が一枚上手であり、ネットビジネスのなんたるかを知っている。