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こちら情報局


「本音のコラム」
『東京新聞』
00年11月17日付
こちら情報局

上げ底

 最近、日本を訪れる外国人が二度はびっくりするらしい。

 一度目は、日本人女性のスタイルがよくなり、すらりとしていること。が、冷静に足元を見ると、なんだ上げ底かということで、二度びっくり。

 実は、IT革命が叫ばれるなか、最近同じような上げ底現象を発見した。

 一つは、電信柱。だいぶ背高のっぽになったようだが、IT革命でのインフラ整備と関係がありそうだ。

 最近は住宅地のマンションに、PHSのアンテナ設置のお願いが多々あるが、住民が生活する場において、鉄柱だの無機質なものであふれかえるのはいやだという反発やら、電磁波の影響はということでなかなか設置が進まないらしい。

 ならばと目を付けそうなのが、電信柱と相成る。

 で、高くなった電信柱だが、それがいいか悪いかは別にして、「空中権」とやらはどうなっているのか気になる。しかも、上にグレーのキャップがかぶせられ、その中まではわからずじまい。

 おまけに電信柱の上には当然のように、電線が張り巡らされる。効率的経営という奴だ。

 「あれ?こんな風景だったっけ」というほど、空の一部に太くて黒い電線が登場しつつある。

 これ、理論的にはどこまでも敷設できるわけで、監督官庁はどこから先を規制するのか、どのあたりまでを指して足りないとするのか、一度議論して頂きたい。

 同じことは道路にも言える。無断駐車を禁じるためか、自動車道と歩行者道を区分けすべく、だいぶ歩行者道が上げ底になっている。 配達等の車が寄せて駐車できず、逆に渋滞が激しくなってなり、高低差が年寄りにとってはかえって不便とも映る。

 バリアフリーは家のなかだけの話ではないはずだが...。