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こちら情報局


「本音のコラム」
『東京新聞』
00年11月10日付
こちら情報局

米大統領選

 長きに渡り、激戦が繰り広げられてきた米国大統領選は最後の最後までもつれにもつれた。それでも結果を待ち望む国民の姿勢がなんだか羨ましいというのが実感だ。

 共和党、民主党それぞれの候補を選ぶ過程で、大統領の資質が問われたばかりでなく、今後の執務に関わる様々なスキルを徹底的に鍛えられ、最終決戦に挑んでいる。

 双方ともに政治家一家生まれ。一点の曇りもなく、大統領候補にまっしぐらのゴア候補と、若い頃には必ずしも政治家志望でなかったブッシュ候補の一騎打ち。

 終盤には、数十年前の飲酒運転での逮捕歴が大統領候補としてふさわしいかどうか、緊急世論調査が実施された。今後、次期大統領は、国内のみならず、世界のリーダーとして君臨する。

 東に民族紛争が発生すれば、政治日程の合間を縫い、必死に和平への道筋を整える。西に独裁国家が誕生し、人権無視の統治が行われていれば、経済制裁を加え、民主国家へと変革を促す...。

 一国の首相や大統領は言うなれば、クラスの学級委員長だが、米国大統領の場合は、生徒会長であり、番長なのかもしれない。

 ひるがえって我が邦はどうか。密室決定というプロセスの不透明さに加え、資質も問われている。

 首相に選ばれる過程で、どれほどの汗を流し、どれだけ国民の審判に晒されたのか。

 衣類の世界ではユニクロなど低価格商品がブームを呼んでいる。 季節感、シチュエーション毎に、デザイン、微妙に異なる色彩の衣類を何種類も購入し、取っ替え引っ替え着こなすのが流行中。

 日本経済が暴風雨だったことはお察しするが、どれだけ首相が交替し、どれほど使用に堪えうることが出来たのか...。

 事前にお断りしておくが、ユニクロの品質はすこぶる良い。