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こちら情報局


「本音のコラム」
『東京新聞』
00年5月26日付
こちら情報局

Vモード

 首を長ーくして待っていたノキア社の赤外線通信対応の携帯電話が登場した。欧州で大流行の製品がようやく発売されたのだ。

 これでどうにか通信ケーブルとおさらばできると小踊りした人も多いであろう。小さな幸せという奴だが、筆者はというと購入を当分見合わせることとした。

 というのも、今使っているiモード同様、問題はケーブル接続ではなく、文字入力にあるからだ。

 iモードが出た当時は、メール転送など色々な使い方を考慮して、一早く飛びついたが、ビジネス面での使い勝手が筆者の個人的なニーズに合致しておらず、ストレスは溜まる一方である。

 親指を駆使してこちらの言いたいことを文章に一文字ずつ変換することも可能だが、あいにくそうした忍耐力を持ち合わせていない。

 敵もさるもの。ユーザー側のそうした心理を見抜き、携帯に接続可能なキーボードを発売している。

 が、もう少しなんとかできないものか。例えば、ボイス機能を搭載し、簡単な音声認識で文字変換ができるVモードの開発だ。

 実はもう一つ悩みがある。公共の場での一部の人達の通話時の声の大きさである。

 最近では、企業内の電話もコードレスとなり、騒音はますます強まる。おじさん達の顔がでかいのか、口元と受話器のマイク口が合っておらず、話し声が大きくなる。

 謙虚に手を口元にかざせば済むのだが、周囲の迷惑に気がつかないらしい。

 マイク受け口のフリップを復活させれば、少しは改善するのだが、オフィス内の生産性向上に貢献する製品の開発を期待したい。

 そのうち、周りの人の視線に配慮し、通話が自動的に切れるような「知能型」が登場して欲しい。個人のモラルに期待するには携帯が普及しすぎた。強制も必要だ。