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こちら情報局


「言いたい放談」
『東京新聞』
04年11月19日付
こちら情報局

Switchをスイッチ

 筆者は綺麗な日本語を話すように心がけている。通訳の第一人者であり、サイマルの創始者である村松増美さんに褒められたぐらいなので、少々自信がある。
 
 村松さんの話では、綺麗な日本語とは、通訳をしやすいすっきりした構文なのだそうだ。
 
 なんのことはない。昭和39年の初来日当時から、筆者にはNHKを始めとする各局のアナウンサーが先生としてついていたからだ。毎日、テレビの前に座り、耳から入ったフレーズを真似て、覚えた日本語だ。
 
 筆者の上達ぶりを見て、親としても子供がテレビを見ることに対する抵抗感はなかったはずだ(と勝手に解釈)。
 
 唯一例外は、民放のコマーシャル。お菓子に、玩具に、なかには、子供にはふさわしくない映像などもあったと記憶する。
 
 時代を経て、テレビは白黒からカラーへ、コマーシャル技法は商品連呼から情緒に訴えるアプローチへと進化した。最新理論では、「エモーショナル」というが、顧客感性のどこをどう揺さぶり、どうやって商品イメージを高め、購買行動に結びつけるか。これが広告展開だと理解している。
 
 標題の「Switch」。東京電力の「オール電化による、快適で環境にやさしい暮らし」の提案である。鈴木京香さんが演じている綺麗なママに、メガネをかけたハリーポッター風のまじめな子供がドキドキするというシリーズ。出会い編に始まり、エコキュート次世代編まで、現在シリーズは6編あるようだ。
 
 さて、シリーズ当初から気になっていたのだが、これから思春期を迎える子供に、友達の綺麗なお母さんが、わざと?どぎまぎさせるようなストーリー展開。ちょっと、チルドレン・ハラスメント的と判断した。
 
 「思春期のドギマギとオール電化への戸惑いを表現したのよ」「細かいことに野暮ねぇ」とは言わないでほしい。コマーシャルを見ていて、不快だという方が周囲に結構いる。少なくとも、これ以上のお色気を子供に向けるのは勘弁してほしい。