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こちら情報局


「言いたい放談」
『東京新聞』
04年10月22日付
こちら情報局

ラストクリスマス

 「ラストクリスマス」といえば、ワム。そのワムの曲を主題歌に持ってきた。なりふり構わず、王座奪還を目指す正攻法の正面突破。これで視聴率取れなければ・・・。
 
 ターゲットはずばり、バブルを謳歌し、「月9(げっく)」を堪能した現在35才から45才。さらにその下の20代までをも取り込む戦略だ。久々にちゃんと観ようかなとの声が聞こえてくる。
 
 「月9」が恋愛の教科書的存在であった、右肩上がりの80年代から90年代は過去のものとなった。
 
 不景気が続き、いつまでも恋愛ゴッコはいかんだろうと政治に関心が向くなか、「たけしのTVタックル」(テレビ朝日)が健闘。
 
 いや、実録恋愛モノで勉強してみませんかと「キスだけじゃイヤッ!」(日本テレビ)も手堅い。今週からは、「ねばる女」(NHK)が参戦だ。
 
 そんななかでの「ラストクリスマス」。初回から視聴者を惹きつける罠が仕掛けてある。冒頭、最終回の一番盛り上がりそうなところをちらっと見せつつ、3ヶ月前に場面を戻す。そこから引っ張る。仕掛けた罠からは、逃げ出せない。
 
  ラストはどうやら「プレゼント」が鍵らしい。主人公の矢田亜希子は病気を克服。5年再発せず、完治したら必ず届けることを主治医に頼んでいる包み紙。なぜに、織田裕二がそれを持っていて、一人でカナダの雪山に居るのか(そういえば、東京ラブストーリーで彼は、“カンチ”役でした)。
 
  クリスマスといえば、プレゼント。ドラマではこちらの物欲をくすぐるには十分な品々が相次いで登場する。
 
  主人公の通勤用自転車は何気にカッコいい。あちらこちらにお洒落な家具、便利そうな情報家電。買い物は是非、六本木ヒルズで・・・。
 
  景気回復には月9というプロデューサーの意気込みが聞こえてきそうだ。あとは、視聴率がうなぎ登りで、実態としての消費がついてきてくれれば、スポンサーも大喜び。最終兵器の復活だ。