自民党総裁選が始まった。自民党のトップを決める争いなのだが、マスメディアで公開討論というのがすっかり定着したので、各局は主要番組に候補4人を出演させ、短い時間枠を使って、それぞれの意気込みを語らせる。
4人が狭いスタジオの中で肩を並べる。時間がない・・・。
こうなると、番組自体が忙しい。で、各候補の一番言いたいことはいつも同じなので、どこの局でも、セリフが決まっているかのような印象を持たれてしまう。
これはチャレンジ側としては結構損する構図ではある。
良いイメージを与えるためにお洒落にしなければいけない。でもしたらしたで色気が出てきたとかテレビの前だけだとか言われかねない。
話が長いと文句言われても、俺が俺がと自己主張しないとやる気がないように見られる。
さらに、女性キャスターから「最近は、顔や容姿もリーダーの条件として大事だ」と突っ込まれたりする。うーむ、それでも笑顔、笑顔。
そうした中で、国民に注目してもらい、開かれた空間で党首を決め、自民党のブランドを守りつつ、次の指導者への踏み絵をさせるイベントである。
本音と建前が入り乱れる。
従来なら派閥の数の論理で決まるのだが、派閥に属しているのか曖昧な小泉首相だと、攻撃の対象が見えにくい。
構造改革。世の中がうまく回るのであれば、我慢してみようというのが国民感情。
焦点は、「少し我慢する」がここ数年で限界に達したのか、まだまだ大丈夫かという見極めであろう。
儲かっている人は儲かっているといわないのがアジア民族。苦労している人達に焦点が当たりがちになる。
物事の分析にはバイアスが存在し、それをどう是正し、真実をどう見極めるか。
劇場型政治は、この党首選で終わらず、衆院選になだれ込む。このあたりが事態を複雑にするのだが、さらに野中公務氏が退路を絶った。
もう一つの「時代劇」から目が話せない。主演男優賞は、誰が取るのだろう。