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こちら情報局


「言いたい放談」
『東京新聞』
03年05月09日付
こちら情報局

たまちゃんと白装束

 GW中の話題はなんと言っても、白装束。
 
 既に大騒動になっているが、実は、普段私たちが見ているのはカメラの中の、いわば「額縁」の中の切り取られた映像であり、その外側ではもっと凄いことになっている。
 
 不安そうに様子を伺う地元住民の周辺で白装束と報道陣が対峙し、野次馬が取り囲む。その間を警察関係者が仲裁し、上空をヘリが飛ぶ・・・。
 
 そもそも渦中の団体は20年以上にわたって活動し、ここ数年はキャラバン隊を組んで、西日本を中心に「回遊」していた。それがいきなり全国区。彼らは「なぜ今、急に」の疑問で一杯のはずだ。
 
 それは全国的なアイドルである「たまちゃん」を捕獲しようとした団体と繋がりがあると週刊誌が報じ、ショベルカーで追い掛け回す映像が流れたからである。
 
 つまりは「手を出してはいけない」物に手を出してしまい、キーワードが一人歩きしているからに他ならない。
 
 ただ、彼らは、電磁波の影響?で生態系がくずれ、都会の汚い河に紛れ込んだ「たまちゃん」を元いた場所に安全に帰したい一心なのであろう。
 
 視点を変えると、一連の騒動では、彼らがたまちゃんなのか、我々がたまちゃんなのか、それとも静かな村に雪崩込んだメディアがたまちゃんなのか・・・。
 
 非合法がダメなら合法的に、あちらこちらのキャンプ場に数台に分かれて停泊し、カーナビと携帯電話でコミュニケーションを取るようになるかもしれない。いや、電磁波だらけだもんなぁ…。
 
 いつも思うのだが、出来れば次世代テレビは「360度カメラ」で画面の外側の場外乱闘を周辺情報として映し出すものが欲しい。
 
 デジタル双方向端末も、暫くはクイズ番組に居間から参加するか、商品購入用くらいしか活躍の場がない。
 
 それより、騒動の周辺ではどういう「状況」なのかが解る方が情報の量と質を高められるはずだ。ちょうど、カラーテレビが始まり、衛星中継がやってきたような「加工されていない自然体」が筆者のようなテレビ世代の次なる願いだ。