ものづくりとデザイン、マーケティング

pana_tel12月20日に、電話・留守電・ファックスを購入。22日に届きました。

パナソニックの「おたっくす(電話・留守電・ファックス)」シリーズの最新版です。

このジャンル、国内は、家電業界が不振で、買えそうな機種が限られています。

そもそも電話ファックスって、いまどきいるのかというのもあるのですが、疲れているときは、ローテク・アナログが一番です。

2月14日に発売したばかりで、子機が2台ついて、3万円ぐらいです。

価格ドットコムみますと、2万7000円ぐらいからありますが、まぁ、良いかなと、即購入。

・Panasonic デジタルコードレス普通紙ファクス(子機2台付き) ホワイト KX-PD703UW-W

(今、アマゾン見ますと、発売して二週間経過し、1500円ほど、値下がり。2万8500円。ただし、欠品状態)

以下、(1)進化している点、(2)やや不満が残る点、(3)負のスパイラルからの脱出。などをまとめてみました。

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(1)進化している点

デザインも、似ているし、いくつか改善点がありました。

・◎立ててあった電話が寝かせられる。(コピー用紙立て含め、普段は寝かせておける、液晶対応になったので、紙を常に補充しなくて良い。紙詰まりも安心)

・〇本体の液晶見てから、ファックスされてきたものを印刷するか決められる。(実際、印刷するまでもないものも)

・〇印刷せずに、液晶画面に書き込み、送り返せる(原稿を頻繁に、やり取りする場合に、うれしいかも)

・〇留守録をメモリに保存できる(会話全部保存、来たものだけを保存)

・△センサーで人が近づくと、留守録あるか、教えてくれる(実は、オプションで購入)

・✕玄関のチャイムとつなげられる(これもオプション、繋ぐ機種による)

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(2)やや不満が残る点

ただし、最近の日本の情報家電などで言えるこですが、買ってから、ああ、ここがこうだったのかぁ。手抜きだなぁというのが多々あります。

写真は、左は、10年前のおたっくす。

これ、デザインに力入れた別ラインですが、やはり、綺麗なデザイン、ものづくりのコンセプトがあります。

まだ、余裕があり、もがいていた時代の最後の「遺物」かもしれません。

なぜに作り続けないのかが気になります。

・✕親機はワイヤード

受話器は、親機に付属ですが、ワイヤード。

買った機種は、てっきりワイヤレスと思ったら、親機だけは、ワイヤードでした。

(別機種に、ワイヤレスありますが、3万5000円。さらに5000円高くなります)

日本製は、脱ガラパゴスが鍵とは言われているが、多機能を辞める辞めないではなく、ものづくりのディテールまで踏み込めるかが問われてきます。

辞めたなら辞めたなりに、説明がしっかりしていないと。今は、ネットで購入するのに、記号だらけで、あの機種と、この機種の何が違うのかの一覧がありません。

・△スピーカーフォン

まだ、スピーカーフォンになるのかが解りません…

・✕マニュアルの説明が不親切

特に、子機の横に「機能(決定)キー」と「選択キー(音量で代用)」がありますが、どこにも説明がありません。

・✕子機の音量が最小になっている

デフォルトの設定が、最小だと、上のマニュアルで悪戦苦闘して、子機の通話音量を上げることになります。

無駄な時間が増えます。

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(3)負のスパイラルからの脱出

細かく書きましたが、ものづくりの観点から見ますと、日本ブランドの不安が露呈します。

a) ライバルが倒れたり、吸収合併したりするため、チョイスが少ない。

お互いに切磋琢磨できず、ライバルがこれを出したのだから、こちらは何を出せるのかが出来なくなっています。現場の担当者が、ライバルを口実に、予算獲得、開発設計がしずらくなっています。

これについては、

・「僕らのソニー」が死んでいく。経済の死角@現代ビジネス(講談社)」

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/38460 等も参考になります。

b)多品種、共通部品などの最適化

理工系からの発想で、記号で管理する癖がついているせいか、703と702の違い、603と602の違い、SWとUWの違いなどが解りません。

3と2は、昨年の機種か、今年の機種なので、理解できますが、「700番と600番は、手書きが出来るできない」、「SWとUWは人感知センサーの有無」となります。

買ってから、ああ、こちらだった。でも、まぁ、めんどくさいから言いかってなると、ブランドへの信頼、信仰は、だんだんと薄れていきます。

c)廃れるものの復刻、維持

デザイナーは常に新しいものを、技術者は少しでも新しい技術を入れたがります。小さなものをコツコツ、いろいろな改善をしていくから、ユーザーはそろそろ買い替えようかとなります。

それが不景気で、デザインなどは極力作りやすいものへと。少ない失敗へと動く。いわゆる、負のスパイラルを駆け下りる状況になっています。自らのスキルを最大限発揮できない現場の口惜しさもありましょう。

いまさらファックス付電話留守録機なのか。あるいは、総合複写機なのか迷いましたが、受話器の使いやすさなどを考え、おたっくすにしています。

まだまだ、ローテクなものを大事にするのは、今の高齢者のためにも、買い支えたい。それと、私自身が年を取ったときにも、アナログ、ローテクに囲まれ、のんびりして居たいからです。

ものづくりとデザインについては、また語りたいと思います。

(店主)


ウェアラブルの協奏曲と狂想曲

201307051406ウェアラブルについてそろそろ、論じておきたいと考えます。

タイトルの協奏曲と狂想曲ですが、当初、どちらにするか迷いました。

良く考えると、両方の意味合いがあるなぁと。

 

協奏曲は、独奏楽器と管弦楽器が合奏する曲。コンツェルト。

狂想曲は、一定の形式がなく、自由で機知に富む曲。カプリッチオ。

協奏は、共創であり、強壮であります。

狂想は、競争であり、競走となるでしょう。

前者は、スマホやタブレットとの共用を想定し、ゆるやかな調和が基本。

後者は、独自の進化となります。

いまのウェアラブルは、前者(協奏曲)への対応が前提となっています。

ここでは、(1)ウェアラブルとは?、(2)身に着けることによるリスク、(3)先に豊かになるもの、(4)脱時計の揺れ戻しは起こるのか、(5)メガネは、個性を表す、(6)プライシング、(7)さらなる狂想曲へ。などを伝えます。

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(1)ウェアラブルとは?

ウェアラブルは、身に着くもの。

言葉の定義からは、身に着けるもの全てが、対象となり、開発可能性を秘めています。

なので、通信メーカー、携帯機器メーカー以外にも、様々な提案があります。

乗りおくれないように、それら研究開発は、2年ほど続けられてきました。

いまあるもの、あるいは付け足すことで、出遅れないためには。

時計、メガネ、洋服生地、靴、指輪…。

特に、時計とメガネに期待がかかります。

プラットフォームをいかに抑えるか。

強者連合で、グーグルやアップルが一歩リードしている状況ですが、まだまだ、先にどういう変化があるか解りません。

時計でも、メガネでも、日本のデザイナーが率いるベンチャー企業が米国西海岸で、開発を急いでいます。

LINEや個電に続き、このウェアラブルでも、日本人のものづくり、感性に期待がかかります。

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(2)身に着けることによるリスク

時計やメガネが注目され、やがて少なくない皆さんが利活用することでしょう。

ただし、身に着けることで、自らの利便性と他人の個人情報を脅かすので、一長一短あると言われています。

特に、個人利用、世界的な流行に結びついた場合でのリスクの拡散です。

既に、迷惑行為として、取り締まる事例が出ています。

米国西海岸では、車で走行中に、グーグルグラスを着用、操作し、逮捕されたのが、違法?の最初のケースと記憶します。

(既に弁護士が担当し、無罪求め、争ったりしています)

直近では、映画館で、録画機能を外したメガネ型(グーグルグラス)を身に着け、コンテンツを盗んでいるとの疑いをかけられました。

(このケースでは、着用した本人が、度付メガネとして、日頃から常用しているため、違法にみられるとは想定していなかったようです)

映画館以外では、レストランやブティックなどで、グラスを外すように求められいますし、自動車運転時には認められていません。

今は、システム開発者やメディア、SNS研究者、学者などが優先的にグーグルグラスを使用していますが、まもなく、一般にも市販され、開放されていきます。

さらに、想定されないリスク、混乱が登場することでしょう。

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(3)先に豊かになるもの

ネガティブな側面は、既に多く指摘されていますが、では、着用するメリットには何があるのか。

現行先行するのは、医療や軍需など閉じた空間、両手がふさがれた状態でのプロの利用です。

医療現場や軍需では、その豊富な予算、あるいは、使用している機器システムのトータルが高額なため、新しいものを導入しても、さほど困らないと考えられます。

もう一つは、金融取引の世界。金融システムの一部に取り込まれることは、これまでの歴史から、同じように実施されるでしょう。より早く、より定量的に、ものごとの判断が出来るところで、鞘(アービトラージ)を抜きます。

それ以外では、物流や配送、空港や図書館などでの効率化、スピード化を求め、利・活用されます。これは、セグウェイなどを導入してきた組織や「場」が該当することでしょう。

その先は、何か。

スポーツやエンターテイメントなどで、利用が進むと考えます。

(実際には、すぐに取り込めるということで、スポーツやエンターテイメントが、上記プロ仕様よりも、先に注目を浴びると考えます)

ソチ五輪(2014年2月)には間に合いませんが、競技者がグーグルグラスか、代替するサングラスやゴーグルをつけて、競技をし、それを観衆が楽しむ。サッカーのゴールキーパー、アルペンスキー、F1ドライバーなどが想定可能でしょう。

(さらには、セミプロがプロになるためのトレーニングとして、グーグルグラス+ARを利活用することになります)

エンターテイメント産業ではどうか。

コンサート会場で、パフュームやAKB48 がパフォーマンスの途中にファンに向けた目線、あるいは握手しているときに見つめたものを、自分を見つめているというDVDは、個人が買いたくなることでしょう。

さらに、著作権をクリアすれば、コンサート会場でゴーグルをし、その録画したものを個人利用に限り、持ち帰れるようになるはずです。

その先の、一般への普及にはまだまだハードルが高いとも思われますが、徐々に浸透することになります。

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(4)脱時計の揺れ戻しは起こるのか

そもそも論でいえば、携帯やスマホは「ドミナント・デザイン」であることから、その流行や発展により、「時計」という機能を吸収して来ました。

(ドミナントは、支配的な力強さのあるものであり、いわゆる勝ち組産業です。携帯・スマホ以外ですと、自動車産業が該当します)

携帯やスマホの普及とともに、脱時計が若い世代から始まり、徐々に中高年に普及しています。

(あるいは、かつて若かった皆さん、20代~30代が、30代~40代になった)

かつて、腕時計は必須でしたが、携帯&スマホを常に身に着けているならば、時計は、携帯&スマホで代用できるのではという発想をしたわけです。

90年代後半、セミナーやシンポジウムで、受講者や来場者に向け、腕時計をしているか挙手させたりしました。20代や30代は、当時、さっさと腕時計を外していることが、明確に解りました。

それでも、腕時計をするには、理由があります。ブランドが醸し出す雰囲気、自らの趣味や相手の趣向を見出すからです。

こだわる人は、一つ30万円も、50万円も、時計に費やします。

時計や靴を見て、その人物を判断するレストランやブティックもあるほどです。

一方で、時計をさっさと捨て去った人、他方で今でも時計を大事にする皆さん(たとえば、記念品や形見など)。

両方からのサンドバッグに、どう応えるのか。

これが、今の腕時計型ウェアラブルの課題です。

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(5)メガネは、個性を表す

メガネ型でいえば、近視や遠視、乱視は、それなりにコンプレックスとなります。

眼鏡が似合うと言われても、メガネは曇るし、鼻に当たる部分や耳は痛くなります。

眼鏡をかける皆さんは、いかに、快適な、そして自分らしく見える、あるいはかっこよく、美しく見えるものを探しています。

フレームについては、グーグルグラス的には、4種類ほど、フレームを選択できるようになりました。

これらは、やがて、自分がいま身に着けているものの上にかぶせる(クリップオン)が登場することになるでしょう。

それでも、「重さ」をどう克服するかが問われます。

つまり、ファッション性と快適性という、これまで散々メガネをかけている皆さんのニーズに応えることが不可欠です。

それでは、裸眼でいる皆さんだけを対象にしたらどうか。

もともと、メガネをかけていない皆さんに、メガネをかけて、そのメガネが快適で、利便性、特にビジネスやオフタイムが充実したものになるようにするには?

このハードルはなかなか高いのではないかとも思います。

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(6)プライシング

もう一つは、価格の問題。

スマホ連動ならば、1万5000円~3万円。どんなに高くても、5万円を超えることはありません。(協奏曲)

単独で動くのであれば、10~12万円。(狂想曲)。グーグルグラスがこのあたりを狙っています。

あるいは、法人利用で、大量生産などもあるでしょう。

既に、携帯やスマホで7万円~10万円を使い、さらに、5万円足したぐらい。

ラップトップ型パソコンを1台買えるもの。その中に、全てを落とし込みます。

予算が先にありきで、その中に求める機能。

腕時計型であれば、心拍数を測定し、これまで出来ていたものが、小さい画面(含むバングル型のラウンドタイプ)に、違和感なく表示される。

眼鏡型であれば、道案内や人物紹介、あるいはライフログの記録、ビジネス取引のための記録などに使われます。視覚だけでなく、様々な感覚を加味したものへと進化する。

いずれにせよ、価格は据え置き、どこまで「ガラパゴス」化するか。環境に適応し、適度に機能や感性をそぎ落とすかが問われます。

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(7)さらなる狂想曲へ。

独自の進化を促し、競争に勝つ。そのための競走(スピード経営)。

ウェアラブルとは何か。

今一度、考えることが大事になります。

世界的に求められているもの。(協奏曲)

これとは別に、日本的なウェアラブルとは何か。(狂想曲)

まだ、考え付いていないウェアラブルなど…。

このあたり、文章長くなりました。

現在進行形で、コンサルティングしているものがありますので、

また、機会を改めたいと考えます。

(この項、続く)

店主